期間 平成28年9月18日(日)~9月22日(木)
全麦連の飼料委員のメンバーを中心に極東ロシアからの穀物輸入に関する調査を目的に、ウラジオストクを
視察してきました。
地図を見てもわかる様に日本からとても近いところに
位置しており、飛行時間は2時間半程で、時差は1時間、
気候は日本の北海道、道南に似ています。
極東ロシア唯一の不凍港で、極東政策の
拠点となる都市であるウラジオストクに、
我々の使用する飼料原料の新たな供給先
として、その可能性と現状を視察、確認
して来ました。
近年、新興国の発展に伴い食の多様化が進み、食肉生産が増加し、世界の穀物の需要が年々増加し続けています。
日本においてもこれまでの輸入先として
中心になっていた国が、別の国々へと
移行して来ました。
その原因の一つに中国が輸出国から大量の輸入国へ転換したことが、日本にとって大きな要因になっています。
また、為替や原油相場による船運賃変動など様々な要因が日本に輸入される穀物価格に
影響される中、当業界では品質、供給量の安定を第一に、さらに少しでも安い原料を世界中から集める事に取り組みながら日本の畜産業界の競争力の強化に取り組んでいます。
その様な中、日本と極東ロシアにおける多方面での振興、協力が9月の初めに具体的に
議論されました。
この様な追い風の中、極東ロシアから日本への穀物の輸出は将来大いに期待できると
思われます。
・ロシアの国土面積は17億ha(日本の45倍)、人口は1億4千万人、これまで原油、天然ガスを中心とするエネルギー輸出が中心でした。現在はというと、小麦輸出量は世界1位、大麦は世界第3位で、国策として、次なる成長産業として穀物輸出をかかげています。2030年までに穀物輸出を63%増加させる計画です。又、ロシア極東沿海地域ではとうもろこし、大豆が多く栽培されていて、耕作面積もこれから大きく増やすことが可能です。又、全ての穀物が国策として非遺伝子組み換えの作物です。
将来、極東ロシアから日本への飼料原料としての穀物輸出が増加する可能性は、十分あると思われます。
日本から現地への定期便は現在週3往復便だけで、過去においては、他に日本の4空港から定期便が就航していたが現在は休止しています。
個人的な感想になりますが、現地の買物店、飲食店、銀行等において日本語はもちろん英語もほとんど使われておらず、全てロシア語で表記されているものが多く、通訳の方の助けが必要不可欠でした。
原油価格の下落やウクライナ情勢の緊迫化等によりルーブル価格が低下したため、過去は日本と同じ物価水準でしたが、現在、同じくらいの品物を購入する場合、日本円で換算すると約1/2ほどの価格です。
町並はヨーロッパ調の建物が多く見られました。
また港に向かうたくさんの坂道をみていると、
“ アメリカのサンフランシスコを思わせる ”と
言われる意味がわかりました。
交通量は非常に多く、乗用車は日本車が多く、
電化製品は韓国製品が多かったです。
食事については西欧料理、朝鮮料理、中華料理、ロシア料理、日本料理を食して来ましたが、どれも馴染のある味で、比較的日本人の味覚に合っていると思いました。
ウラジオストクの主な産業は造船業と漁業、軍港関連産業です。日本などからの中古車輸入が盛んで現在は自動車産業を積極的に誘致しています。
一方穀物輸出に関しては、直接船積み可能なバルク輸送に対応した穀物ターミナル等のインフラ整備は進んでいません。
日本にとって外国産畜産物との競争のため穀物を少しでも安く、また安定した品質や量を確保してゆくためには、安定した物流と時間短縮が
コスト削減に必要不可欠なため、インフラ整備の進展が今後の課題となると思われます。
東方経済フォーラムで日本が提案した経済協力分野の8つの項目の中に
「 極東地域での産業振興や港湾建設等のインフラ整備 」が記され、穀物ターミナル建設は多いに期待されています。
輸入及び輸出の農作物は、このセンターで検査を行われ、内容は成分調査、品位検査、
かび毒検査、残留農薬検査、重金属検査、遺伝子組み換え検査等です。
歴史は93年間に及び、ロシアの穀物の信用と品質の向上のための仕事をしています。
検査結果は国際承認されており、日本に輸入する穀物を現地での検査依頼も可能です。
9月20日(火)
アルマダ農場
2005年 最新の養豚施設をカナダ、フランスから導入
2010年 5,000ヘクタールの圃場を追加購買
2012年 「2012年度 沿海州ベスト農事法人賞」を受賞 沿海州において5年連続で、大豆、コーン、麦の高単収を達成したことが評価
2013年 さらに40,000ヘクタールの圃場(7箇所の農場)を所有 同時に大豆搾油工場ならびに飼料工場を設立
2016年現在、農場数は9箇所、総面積68,000ヘクタールにまで拡大
養牛数 約3,000頭、 養豚数 約10,000頭
この農場では自給飼料用と売り先の見込みのある食糧用の作付けだけで、まだ収穫面積に余裕があるため、日本への輸出用に作付けをお願いする事も可能であると思われました。
最後に今回の視察を設営して下さったJA全農インターナショナル様、農協観光様、一緒に
同行して下さった全麦連および全農の皆様、又現地にてお会いした数々の関係者の方々、大変お世話になり、ありがとうございました。